
岡本 洋平
第7回 経営理念と経営ビジョン
第7回は経営理念と経営ビジョンについてお話をしたいと思います。
経営理念と経営ビジョンは、企業のアイデンティティを確立するために非常に重要なものであります。
これが明確に定まっていないと、経営戦略や事業戦略の方向性もブレてしまい、結果として利益率が低くなる、顧客や従業員の満足度が低くなるといったような弊害が生まれてしまいます。
しかし経営理念と経営ビジョンは、その重要性にも関わらず経営活動の中で後回しにされたり、もしくは策定する必要性を見出せないといったようなことも多く見受けられます。
その原因としては、直接売上や利益に寄与しないため効果が測定しづらい、本当に経営にとって効果があるのか疑問といったようなことが挙げられるかと思います。
では効果を測定しやすい、比較的早く効果が目に見える経営理念・経営ビジョンはどのようなものでしょうか。
最も効果的なのは、トップダウンだけではなくボトムアップも含めて経営理念・経営ビジョンを策定することであります。
例えば今後の自社像を設定するにあたり、
1.経営者様と従業員の皆様の間で目指すべき方向性は一致しているか
2.お客様と社会、そして自分たちにこれから何を提供していくのか
3.その目指すべき姿に向かって数値目標で計画をしっかり立てているか
このような項目について全社で話し合う機会を設け、時間をかけてでも納得できるものを作り上げることが重要となります。
特に3の数値目標はモチベーション維持のために非常に大切な要素で、「目に見える」結果が伴わないとモチベーションは簡単に下がってしまいます。
理想は大事ですが、現実として理想に向かって前進していることが確認できるように、理想と現実のバランスをうまく保つことが「経営理念・経営ビジョン」の効果的な策定方法であると考えます。
全社的な生産性向上を達成するにあたって、経営理念と経営ビジョンの浸透は大きな要素を占めます。
まだ明確に経営理念・経営ビジョンを策定していないという経営者様は、一度従業員の皆様と話し合う機会を設けてみてはいかがでしょうか。