- 岡本 洋平
第25回 雇用のミスマッチはなぜ起きるのか
第25回は近年社会的問題となっている「雇用のミスマッチ」についてお話いたします。
現在の日本では定年退職の増加や新たな労働者の減少により、人材を確保するのが非常に困難な状況が続いています。
特に中小企業では大企業のような大量採用ができないため、採用してすぐに辞められてしまうと経営にも大きな影響を及ぼします。
ここで疑問なのは、なぜすぐに辞めてしまうのでしょうか。
まず中途採用は原因がはっきりしており、「前職のやり方に固執する」、「組織に馴染めない」といったところが大きくウェイトを占めています。
この解決法としては、「組織全体で歓迎する」、「その人を認める」、「認めながら1つずつ自社の考えを教え込む」といった方法が有効です。
そして新卒採用ですが、こちらは原因がはっきりしているようではっきりしておりません。
私がよく耳にするのは「やる気がないから嫌なことがあるとすぐ辞める」というフレーズです。
確かにこれは大きな原因であると考えられます。
しかしここでさらに深堀りします。
そもそもなぜやる気がないのか。
なぜ嫌なことがあっただけで辞めてしまうのか。
すると2つの根本的な原因が見えてきます。
1つは、学生がビジネスを実践的に学ぶ場が圧倒的に不足していること。
そしてもう1つは、超売り手市場がために採用時に企業側が都合の悪い部分を隠してしまうことです。
これらの根本的な原因を解決するには、次のような施策を行う必要があります。
1つ目は学生のビジネススキルを就職前にもっと高めること。
2つ目は学生の在学時からとにかく接点を増やし、入社時のギャップを限りなく小さくすること。
ですがここで問題があります。
2つ目の施策は企業側で行えますが、1つ目は企業で対策できる範囲を大きく超えています。
日本の生産性が上がらない要因として、まさにこの「ビジネスを学ぶ場」が不足していることは、非常に大きな影響を及ぼしていると考えられます。
教育を変えるということは中々難しいものがあります。
しかし現状に危機感を覚えている人は多く、恐らく数年以内に教育に対する大きな動きがあるものと見られます。
ですので、経営者の皆様はまず入社時のギャップ解消に向け、採用予定の人材に対して「自社の理念、ビジョン、現状、長所、短所等をありのままに伝える」ことを意識していただければと思います。