
岡本 洋平
第18回 ブランディングの基礎と注意点
第18回はブランディングについてお話いたします。
ブランドには様々なものがあります。
例えば企業そのものがブランドとなっているもの(ルイ・ヴィトン、メルセデスなど)。
商品やサービスがブランドとなっているもの(iphone、リッツカールトンなど)。
そして、何かをプラスして付加価値を高めるもの。
中小企業が狙いやすいのは最後の「何かをプラスして付加価値を高める」ですが、ここには落とし穴があります。
一番よくあるケースが「価格を高くすることが目的となること」です。
価格を高くするために何かを無理やりつける、もしくはイメージ先行でコアの部分をおざなりにしてしまう。
こういったケースは必ず売上が先細り、最終的には大きな損失の原因となります。
ブランディングという概念は経営理論よりもはるかに歴史が浅く、日本では1990年代から活発に行われるようになりました。
ブランドエクイティを向上させるため、ブランド認知・知覚品質・ブランド連想・ブランドロイヤルティ・その他ブランド資産を高めるということが重要であるという理論が浸透した時代でもあります。
そしてこの理論は最近まで(現在も)よく耳にし、実際使われていますが、経営環境が目まぐるしく変化した現代ではちょっと視点を変える必要が出てきました。
すなわち、「その企業にしかできない物(コト)を提供し、共感を得る」ことが非常に重要な時代となりつつあります。
これは上記のブランドエクイティというより、社員や消費者、地域社会からの「共感」が大きな意味合いを持つということで、従来のブランド理論とは若干違うものであります。
つまり、「共感」を得られるような理念を持ち、「共感」を得られるような商品やサービスを展開すれば、「ブランド」という付加価値は後から勝手についてくるものと私は考えております。
その好例は三条市のスノーピークでしょう。
仕事を遊びの境を無くし、「自分たちもユーザーである」という理念のもとで製品開発を続けてきました。
その結果、多くの人からの共感が得られ、現在では東証1部の上場も果たしています。
このように、「ブランディング」とは何のために行うのかをはっきりさせないと、今後の経営環境に適応できなくなる可能性があります。
自分たちにしかできないこと、自分たちにしか提供できない物(コト)を認識し、磨き上げ、徹底して続けることが「共感」を得られるポイントであると考えます。
私もブランディング戦略は行っておりますが、製品単体のブランディングは行いません。
必ず企業全体で考え、何ができるかを真っ先に考えます。
現代の消費者は、もはや「付加価値が高い」だけでは購入するきっかけが弱いということを、ぜひ認識していただければと思います。
今回はブランディングについてお話しました。
「自分たちは何を提供できるか、何を提供すべきか」
ぜひじっくりと考えてみてください。