• 岡本 洋平

第17回 逆三角形型の経営

第17回は従来のトップダウン型経営ではなく、逆三角形型の経営についてお話したいと思います。


第9回でも少し触れましたが、中小企業にとって理想的なのは「ティール組織に近いピラミッド型組織」であると私は考えております。

しかしながら、この形態はトップに求められる経営と倫理のレベルが非常に高いため、中々現実的ではないという側面もあります。


そこでお勧めしたいのが、「逆三角形型の経営」です。


従来は社長がピラミッドのトップに位置し、そこからトップダウンで組織が動くという構図でした。

しかし高度成長期ならいざ知らず、現代のようにVUCA(不安定、不確実、複雑、不明確)な時代では、そういった組織がうまく機能しないことも様々な事例で証明されています。


特に従来のピラミッド型組織で問題なのは、自社の経営資源を中心に考えるあまり「顧客の便益」という視点が抜け落ちるといったことが挙げられます。

例えば家電メーカーですが、ちょうど地デジ普及の頃にTVの買い替え需要が発生しました。

この時に国内メーカーが自社製品に求めたものは「高機能、多機能」であることでした。

例えばTVのリモコン一つ見ても分かりますが、直感的な操作がしづらい「ゴチャゴチャした」リモコンが多いです。


しかし一部コアユーザー以外の「顧客の便益」は、「簡単に操作出来て早く起動して綺麗な映像を見たい」でした。

つまり高機能・多機能で複雑なTVは、「顧客の便益」から大きく外れたものと言えるでしょう。

このように、従来のピラミッド型組織では「現場の声」や「顧客の声」を拾うことを疎かにしがちで、結果的に経営判断を大きく誤る可能性が高くなります。


では「逆三角形型の経営」とはどのようなものかと言いますと、これは「徹底的な現場主義」を実践する経営となります。

つまり、トップは現場が気持ちよく働けるように、働きがいを持って働けるように、徹底的に現場のことを考えた経営を行うことです。

このような経営を行う上でポイントとなるものはいくつかありますが、最も重要なものとしては「実際に現場の視点に立つ」ことが挙げられます。

これは単に現場視点というだけではなく、「この施策を行ったら現場はどうなるか」「この人事制度を実施したら現場のモチベーションはどうなるか」など、実際に業務を行っている現場がどう変わるのか、そしてどのようなメリットデメリットが想定されるかまで、現場業務を目で見ながら判断することが必要です。


このような逆三角形型の経営は「現場が調子に乗る」「トップにはもっとやるべきことがある」など、様々な声が聞かれます。

ですが中小企業においては「マネジメントの不足、マネジメント層の不足」が大きな課題となります。

これが社員のやる気を損なったり、離職率の高さに繋がることは言うまでもありません。

逆三角形型の経営は「マネジメント」を補う役目も果たすため、方法さえ間違えなければ非常に大きな成果をもたらすことが多い、ということも覚えておいていただければと思います。


どうしてもマネジメントの時間が取れないという方は、やはり外部のコンサルタントを頼る方法が一番お勧めです。

マネジメント不足の原因としては二つあります。

一つはトップがプレイヤーを兼務して時間が取れないこと、もう一つは中間管理層がそもそも少ない(もしくは居ない)ことです。

このため、部品が作れない場合は外注したほうが速くて安上がりなように、実行できる人材がいない場合も外注したほうが結果的に速くて安上がりとなります。

経営資源で最も重要なのは「時間」ですので、そのあたりも考慮されながら上手く外部の人材を活用されるのが良いでしょう。


最初のほうでも述べましたが、従来のトップダウン型経営で一番怖いのは「顧客の便益」から外れた方向へ走ってしまうことです。

逆三角形型の経営ですと現場の声を重視する形になるため、このリスクは一気に減少します。

逆三角形で上手くいった事例としては「ミスターミニット」の迫氏が有名ですので、ご興味のある方は著書を一読されることをお勧めします。


今回は「逆三角形型の経営」をお話しました。

皆様もこれを期に、「マネジメント」の大切さを考えていただければ幸いです。

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