- 岡本 洋平
第15回 SDGsとビジネスモデル
第15回はSDGsをもとにしたビジネスモデルの構築についてお話します。
自社の利益と紐づけることができず、社会貢献についてあまり前向きになれない経営者の方もぜひご一読することをお勧めします。
長野経営コンサルティングでは6月に入ってからSDGs達成に基づき、「働きがい」を主軸にコンサルティング業務を行うことといたしました。
これは「単なる社会貢献」だけではなく、私どものビジネスモデルを社会貢献とリンクさせる目的があります。
SDGsについて多くの方が誤解していらっしゃるのが、この「単なる社会貢献」という意味合いです。
実際に10年前まではCSR(企業の社会的責任)という言葉が主流を占め、どちらかというと社会貢献は企業の責務であり、その責務で儲けてはいけないというような風潮でした。
ですがSDGsの各取り組み(全部で17)は「持続可能性」を前提としているため、社会的課題を解決しながら企業としての利益を追求するという方向に舵を切っております。
このため、一つの取り組みごとに市場規模が100兆円前後から数百兆円規模に上るという試算も出ています。
この市場規模に至る要因としては、主に次の3つが挙げられます。
世界の共通目標であること
巨大企業を中心に取り組みが盛んになりつつあること
投資がSDGsを推進している企業に向かっていること
これらの要因をもとに、昨年あたりから急速にSDGs推進の流れが進んでおります。
数年後にはこの流れが主流となり、SDGs推進企業のネットワークが確立されると予想されます。
ですので、自社のビジネスモデルに合わせて「今」SDGsの取り組みを行うことは、単なる社会貢献に留まらず自社にとっても非常に大きなビジネスチャンスとなります。
では、SDGsを自社に取り入れるにはどうしたら良いでしょうか。
それは非常に簡単なことで、例えば17の取り組みのうち1つでもいいので自社で取り組む目標を定めます。
中小企業の成功事例として取り上げられているのは印刷業の「大川印刷」で、この企業では環境印刷に集中して商品やサービスを展開しています。
これだけだと「うちもやってるよ」という声が聞かれそうですが、ここで大事なのは「SDGs達成に向けて自社のビジネスモデルを構築している」ことにあります。
これはブランディングの一種でもあり、ただ単に「環境に配慮しています」というフレーズと「SDGs達成に向けて環境印刷を行っています」では付加価値が全く異なります。
商品やサービスだけでなく、他にも「ゴミ削減」や「働きがいの向上」などもSDGsに紐づけして行うことで、世界共通の目標に向けて進んでいる企業であるという「付加価値」が生まれます。
この付加価値は現在も大きな訴求ポイントですが、あと数年もすると「非常に大きな」差別化のポイントになると私は予想しています。
なぜなら、先ほども申し上げた3つの要因のうち、「投資」に関する流れがSDGs推進企業に流れ始めているからです。
国や自治体、金融機関などがバックアップする企業
そうではない企業
どちらが有利であるかは比べるまでもありません。
この流れを先取りするためにも、「今から」SDGs達成の取り組みを行うことで「先行企業の利益」を得ることができます。
特に長野県では自治体を挙げてこの取り組みを推進しています。
ならば流れに乗ることがビジネスチャンスであり、また社会貢献になるということは皆様もお分かりになるかと思います。
もう一度申し上げますが、SDGsは「単なる社会貢献」だけではなく「ビジネスとして社会的課題を達成する」という認識を持つ必要があります。
しかもその課題は身近なところから解決できるものもあります。
そのような認識を持っていただき、まだ浸透していない今のうちだからこそSDGsの推進を考えてみてはいかがでしょうか。