- 岡本 洋平
第12回 売上と利益と引き上げる6つの法則
最終更新: 2019年5月31日
第12回は売上と利益に直結するお話をいたします。
~売上と利益を増やす~
おそらくほぼ全ての経営者の方がこれを望んでいることかと思われます。
しかし私の経験上では、売上と利益を引き上げたいけど中々そう上手くはいかない、といった声を多く頂きます。
そこで、私が提唱している「売上と利益を引き上げる6つの法則」をご紹介します。
①すぐに行動する
②外部に頼る
③人を大事に
④根気よく続ける
⑤常識を疑う
⑥常に学ぶ
上の3つは特に実践していただきたいこと、下の3つは常に実践していただきたいことです。
そして、これらを具体的にご説明する前に、最も大事なことがあります。
それは「肯定思考を持ち続け、否定思考を捨てる」ことです。
「ポジティブ思考、ネガティブ思考」ではなく、肯定思考は「何かを知った時、経験した時に、まずは受け入れてみること」、否定思考は「何かを知った時、経験した時に、まずは否定する理由を探すこと」、であります。
私が考えた解釈であるため、もし他の方が肯定思考と否定思考を提唱されていた場合、その意味合いはおそらく細部で異なりますのでご了承下さい。
否定思考の典型的な例として、成金志向の有名人がTVに出演したとき「こいつはしょせん成金だから」という理由で否定してしまうこと、などがあります。
肯定思考で考えるならば、「なぜこの人はこんな成金志向で成功できたのか、どんなビジネスで成り上がったのか、興味を持ってみよう」といった形でまずは受け入れてみること、です。
その上で役に立つものがあれば取り入れ、役に立たないものしか無ければ取り入れない、というようにまずは肯定することで自身の思考を変えていくことが必要です。
なぜこれが重要なのかと言うと、否定思考が定着してしまうと「現状が当たり前」「みんな一緒」「誰かがやってくれる」など、自ら動くという意思がどんどん削がれてしまうからであります。
いわゆるネガティブ思考というものです。
否定思考からネガティブ思考になると、先ほどご紹介した6つの法則に対しても「行動しても無駄」、「外部に頼っても悪くなるだけ」、「人なんか育ててもすぐ辞める」、「どうせ三日坊主で終わる」、「それが常識なんだから」、「よく分からないし別にいいよ」、といったように、現状からの脱却を強く望んでいるにも関わらず、結局は現状維持を強く望んでしまうというジレンマに陥ります。
ですので、6つの法則の大前提として、まずは肯定思考で日々を過ごすようなマインドが必要になります。
肯定思考をご説明したところで、次は6つの法則をそれぞれ具体的にご説明します。
①すぐに行動する
これは当然ながら「行動に移したものだけがメリットもデメリットも得ることができる」からであります。
生産性向上で重要な「スピード」の観点からも、すぐに行動するメリットはデメリットを大きく上回ります。
例えデメリットが生じたとしても、それは動かなかった場合には得られなかった「機会」です。
「トライ&ラーン」とあるように、まずはやってみること、そして何かあれば学習して修正を加えることで、さらに精度の高い取り組みを実施できます。
経営がうまくいっている企業でも、なぜか「スピード」は非常に疎かにされている印象を受けます。
そういった企業は「景気の境目から景気悪化時」に大きく業績を落としやすいです。
このように「スピード」は、経営環境の変化に対する企業の対応にも重要な役割を担います。
②外部に頼る
今までは自社の経営資源だけで売上と利益を増やせるような経営環境でした。
しかし今後は、労働力と需要が両方とも減少することが予想されます。
このような環境で、自社の経営資源だけで競争するのは非常に困難です。
例えばクラウド一つ取ってもそうですが、給与計算や人事労務管理をクラウドに一元化するだけでも相当な時間的メリットが得られます。
商品開発や製造、マーケティグなどにおいても、自社がどの領域に集中してどの領域を外注するかというのは非常に重要です。
ファブレス企業はその典型でしょう。
自社内で非生産的な部分があれば、思い切って止めるか外注するという考えを持つことが、これからの経営で必要になります。
③人を大事に
「人を大事に」これは当然のことですが、「大事」の方向性が少し違っている場合もありますので、少しご説明いたします。
「大事」にするという考えで、福利厚生や給与体系、評価制度などの充実だけで済ますと業績悪化に繋がる場合があります。
生産性向上で重要なのは「いかに楽しく働けるか」、「いかにやりがいを持って働けるか」、「いかに自分が必要とされているか」などの自律的な観点であり、特に大企業から中小企業に転職される方はこの傾向を強く持っています。
ですので、「人を大事に」という言葉には、制度だけではなく「働く人の動機づけ」も含まれていることを強く認識することが重要です。
ここまでの3つが「特に実践していただきたいこと」です。
続いて「常に実践していただきたいこと」の3つをご説明します。
④根気よく続ける
人の習慣とは面白いもので、新たに何かをやろうとすると現状維持を好む傾向があります。
このため、三日坊主という言葉が定着したものと思われます。
このような事態を避けるために、一度実施したことは習慣になるまで続けることが必要です。
私の経験上では、1ヵ月で習慣化が進み、3ヵ月もすれば「むしろやらないほうが気持ち悪くなる」までに至ります。
根気よく続けるにはトップの強い意思も必要ですので、数値的な目標と関連づけて実施するなど習慣化できる工夫をしてみるのも良いでしょう。
数字を用いて経営を管理し、「見える化」するとモチベーションの継続につながります。
⑤常識を疑う
「常識では~」この言葉はとてもよく耳にします。
しかし「業界の常識や社内の常識は世間の非常識かもしれない」ということも認識しておく必要があります。
特に製品開発や業務効率化では、この観点が思わぬブレイクスルーを生み出すこともあります。
「これは常識なのか、単なる惰性や思い込みではないのか」というように、「常識」という言葉に疑問に思うようにしましょう。
⑥常に学ぶ
常に学ぶと言っても、学び方は様々です。
私のお勧めは「本を読む」ことと「社外の集まりに参加する」こと、そして「目立つ人の思考パターンと行動パターンを真似する」ことです。
最後の「目立つ人」とは、例えばTVでよく見かける有名人や周りの有名人、自身の恩師と呼べる人などが挙げられます。
目立つ人は大抵何かしらの特徴があります。
それは「〇〇の専門家」という意味合いではなく、「人をその気にさせるのがうまい」、「人に教えるのがうまい」、「自由に生きている」、「キャラを確立している」、「実力以上に大きく見せることに秀でている」、「お金や人を集めるのが上手い」、「人への貢献や感謝のために生きている」など、その人のパーソナリティや能力といった意味合いです。
善悪という視点はさておき、自身が気になったり考えが合う有名人の思考パターンや行動パターンを学び、真似をすることは、自身のスタイルを確立するうえで非常に有効な手段です。
ここまで「肯定思考と否定思考」、「売上と利益を引き上げる6つの法則」をご紹介しました。
最後に、
肯定思考を得てすぐに行動するための「意識」
をご説明します。
肯定思考を持つ、すぐに行動するというのは、実践するうえで非常に困難なものです。
「根気よく続ける」の説明にもあります通り、人は現状維持を強く好む傾向があります。
そこで、私がお勧めしている方法を一つご紹介します。
それは、「普段なら絶対に買わない物、絶対に受けないサービスを、あえて買ってみる」ことです。
例えば、「普段絶対に買わない超高級ブランドの革製品や時計を正規店で買ってみる」、「普段絶対に泊まらない超高級ホテルに1泊してみる」、「普段絶対に食べない超高級ディナーを味わってみる」などです。
これらはいずれも「世界最高クラスのブランドを維持するための品質やサービス」を前提としており、外部から顧客として経験するだけでも自身のマインドを変えることができる大きな刺激となります。
実際に、とある町工場の社長はリッツカールトンのサービスに感激し、自社の経営方針やサービスに活かしました。
この町工場は小規模製造業としては異例なほどの業績を上げています。
逆に、その製品やサービスが期待以下だった場合、そこからも得られるものも沢山あります。
なぜ期待以下だったのか、どこで一番ガッカリしたか、何を改善すればそれが良くなるのか、そういった経験もやはり肯定思考や行動に繋がる大きなきっかけになります。
上記の社長は某高級ホテルでガッカリした経験もあり、それも見事に経営に活かしております。
たった10万円で意識が変わり、将来の1000万円につながれば、それは投資利益率としては非常に大きなものとなります。
中々前に進めないとお悩みの経営者様は、そういった「非日常の刺激」を経験してみるのもいかがでしょうか。