- 岡本 洋平
第1回 経営戦略の基礎
最終更新: 2019年5月24日
経営に関するあらゆる情報を発信していきたいと思います。
第1回は経営戦略の基礎をお届けします。
「経営戦略」では様々なフレームワークが活用されますが、その中でも基礎となるものが「ドメイン」です。
ドメインとは簡単に言えば「企業が活動する範囲や領域」のことであり、
・全社的な視点で策定する「企業ドメイン」
・事業レベルで策定する「事業ドメイン」
があります。
「誰に・何を・どのように」提供するかを策定することで自社の戦略としての方向性が定まり、企業の一貫性や従業員の士気向上などに繋がります。
単一事業で経営されている場合は、企業ドメインと事業ドメインを同一にするのが一般的です。
しかしながら、このドメインは「モノ」を中心に定義すると、新しい市場や製品を見落とす結果にもなりやすいので注意が必要です。
例えば中古車販売店で、
「県内と近隣のお客様に」「手ごろで品質の良い中古車を」「自社の仕入れネットワークと良質なアフターサービスを通じて提供する」というドメインを定義したとします。
この場合、標的となる顧客は県内と近隣である程度絞り込んでおりますが、肝心の製品面では「手ごろで品質の良い中古車」という「モノ」を中心としたドメインになっております。
こういったドメインは特徴が無く、「その他のありふれた企業」に埋没してしまう可能性をはらんでいます。
では、どのようにドメインを考えれば良いでしょうか。
そこで大事なのが「コト」を中心としたドメインの定義です。
例えば上記中古車販売店の例で、「全国の〇〇車好きに」「昔の〇〇車によるドライビングの楽しさを」「インターネット販売と万全のフォロー体制を通じて提供する」というドメインを新たに定義してみましょう。
ここで大事なのは、「〇〇車でしか味わえない、夢中になれるドライビング」を顧客に提供するという、「コト」を中心とした発想に変わっていることです。
「コト」を中心としたドメインを定義したことにより、全国でも数少ない「昔の〇〇車を通じてドライビングの楽しさを提供するお店」となりました。
当然ながら企業側も自分たちが得意とする車のみを扱うため、サービス品質や顧客への提案も満足いくものとなります。
そのため顧客の口コミを誘発し、営業をかけずとも勝手に車が売れていく、という好循環が生まれます。
いかがでしょうか。
夢みたいな話ですが、実際にこのような企業は複数存在いたします。
「モノではなくコト」で発想するドメイン、今後のデジタル社会でさらに重要性が高まりますので、
経営者の皆様も一度お考えになってみてはいかがでしょうか。